陳氏太極拳協会双月会

2021年3月に入ったばかりの「双月会」から

昨年から続く新型コロナウイルスの台頭から社会の日常は大きく変わりました。
手洗い、消毒、マスク着用 三密を避けての練習はここ、福岡県久留米市の「双月会」でも続いていました。

鬱々とした気持ちとは裏腹に外に目をやれば木々の芽吹きや花の蕾が春の足音を知らせています。

「あ~。たまには外で太極拳したい。」

そんな声が上がったのは3/3の事。
今年の桜の開花予定3/13。

その声を受け3/17の練習終わりにえーるピアの芝生の上で桜の木に囲まれて表演しようと言う事で話しが盛り上がります。

「使用許可取ろう」
「晴れたら良いね。」
「表演服持ってる?」

「双月会」の素晴らしいところは大枠が決まれば会員自ら率先して動き、衣装、許可、撮影、立ち位置など指導者が気づいた頃には全て決まっていると言う事です。

これは陳氏太極拳協会の中でも「双月会」の特徴と言える事ではないかと思っています。 元来儒教をベースにした国で伝統を有する組織は上意下達でなかなか皆の意見が反映されない事が多いものです。
ところが「双月会」はウェブ型組織の如く情報共有と主体性そして自立と協調によって運営されている組織と言えるでしょう。
『主体となるべきは指導者ではなく会員』
この感覚は「双月会」創立から変わる事なく存在しています。

表演が決まると会員から
「今月はとりあえず一路の練習は無しで四正太極拳でお願いします」
「今まで、四正も(いつか覚えるか?)くらいに考えていたけど、やるとなったら套路覚えないわけにはいかないよね。」
など声が上がります。
時に
「私なんか…」
尻込みする意見も聞かれましたが
「え~?皆でやろうよ!」
「皆でやったら楽しいじゃん」
と一挙にみんなでやる方向に盛り上がって行くのでした。

発表会の前日は結構な雨が降って開催が危ぶまれましたが当日は嘘のように天気が持ち直しました。
「すごいね?。皆の気持ちが天気にしたね。ww」
と喜びの声。
練習を終え表演服に着替えてえーるピアの芝生へと向かう「双月会」会員。
えーるピアのスタッフや利用者が、その様子を(何事か?)と言うように見ています。

「双月会」は立ち上げから僅か2年。
月1回の練習から始まった会です。
一番最近入られた会員さんは入会から4ヶ月。
本当に頑張られました。
会員のみなさんそれぞれ介護や持病、仕事、ご家族を持ちながらいろんな環境の中で太極拳に励んでおられます。
決して順風満帆ではない生活の中でそれぞれが太極拳を楽しんでいるのです。

桜はまだちらほら
表演服で芝生の上に立つと足を止めて見てくださる方も…

ゆっくりとした音楽をバックに四正太極拳をスタート。

最初緊張気味だったみんなが徐々に集中していくのを感じます。
春の風が気持ちいい。
足元の芝生が伸びゆくエネルギーをくれます。
今、「双月会」はこうして2年の時を経てようやく表演出来るまでになりました。
この時がとまればいいのに…。

金剛搗碓
太極収勢

残心を経て

一斉に笑顔が溢れます。

言葉にならない感動に包まれました。

誰ともなく全員がその輪の中央へと駆け寄り湧き上がる拍手。

その拍手は春の空へ空へ高く
遠く広がり溶けてゆくのでした。



「一年後、またここで表演して自分達の成長を確認しよう」

「双月会」はどこまでもどこまでも前向きに太極拳に励んでいるのでした。