陳氏太極拳協会双月会

〜コロナ禍のマスク生活で「神」について考えてみる〜

2020年から価値観がガラリと変わりマスク生活が始まりました。

私はこのマスク生活で欧米人と東アジア人のマスクに対する感じ方の違いに驚きましたが皆さんはいかがでしたか?

当初欧米人がなぜそれほどまでにマスクを嫌うのか。少し理解に苦しむところがありました。
しかし、時間の経過とともにそれが相手の感情の読み取り方の違いである。と知りました。

メディアの情報によると相手の感情を
東アジア人は目元で。
欧米人は口元で読み取っている。
というのです。
だから日本の絵文字は目で感情表現するのに対して欧米の絵文字は口元で感情表現する。という事でした。

いくつか例を挙げてみるとこんな感じです。↓

笑顔
日本 (^_^) (*´▽`*) (≧▽≦)
欧米 :-) :)

驚き びっくり
日本 Σ(°Д°;) (*_*)
欧米 :-o :O

悲しみ 涙
日本 (;_;) (ノд`) (T_T)
欧米 :-( :(

*欧米は顔が横向きなのですね。
また、日本の絵文字には現代カルチャーとも言える漫画の影響があるように感じます。

私には勝手な思い込みがあり、『互いの目を見つめて話すのが好きな欧米人と、目を合わすのが苦手な東洋人。』というイメージを持っていて、欧米人が相手の目を見て話すのは瞳から感情を読み取っているのだろう。と考えていました。
しかしそれは間違いでした。

欧米人は口元で多くの感情を読み取っていていたからこそ口元を隠すマスクが受け入れられなかったのですね。

何故欧米人は口元で相手の感情を読み取るのか?
この辺りは言語の発声の仕方にも関わって来そうです。
学生時代英語を習った時、破裂音や舌の使い方などで日本語よりも口周りの筋肉を大きく動かすと感じられた方もおられると思います。
あれだけ多様に口周りの筋肉を動かせば表情筋の動きもよりスムーズになるでしょうし、唇に当たるマスクの不快感は日本人の比ではない事でしょう。

さて、中国では
『天有三宝、日、月、星。地有三宝、水、火、風。人有三宝、精、気、神』
と言う言葉があります。
太極拳をしていると人の三宝「精」「気」「神」についてよく耳にします。
この中の一つ「神」は人の精神状態や意識を表すものだと考えられ
「眼に神が宿る」とか「眼は神を表す」なんて言葉を聞いた事がある方も居られる事でしょう。

目は外部の光の刺激を受ける感覚器官で有ると同時に主に東南アジアの人々にとっては重要なコミニュケーションの役割をも果たしています。(もちろん欧米人がそれを全く用いていない訳ではありません。映画などのアングルで目のアップが緊迫感や恐怖の演出に使われているところを見ると欧米人にとっても目は表情を表す手段ではあるのでしょう。)

具体的に眼球の中央にある瞳孔は光源に反応する他に何かを注意深く見ようとすると大きく開きます。
それは何かをしっかり見ようとするとその分光を必要とするからです。
つまりその人の意識や興味対象が瞳孔の動きで読み取れるのです。

眼球の動きや瞳孔の光の取り入れ方で脳の活動が見える。だからこそ目は「神」を表す事になるのでしょう。

以前、私は同じ東洋人の女性の写真を二枚見せられた事があります。
構造も被写体も風景も全く同じ
なのに違和感があるのです。
「違いがわかりますか?」
と、問われて私は考え込んでしまいました。
自分が何処に違和感を感じているのかわからない。
けれど何かが違う…。
しばらく沈黙していると、
「瞳孔ですよ。」
と答えをくれた。
「この二枚の写真で違うのは瞳孔の開き方だけです。」
言われてみれば確かに…。
不思議なもので、人は意識として瞳孔の違いを捉えているのではなく感覚的にしかも瞬時にその違いに気づいてしまうのだという事がわかりました。

人は意識が目に表れると同じく、目に表れる僅かな瞳孔の動きを読み取る事ができる感覚を備えている。という事なのです。

先に私は、欧米人は相手の目を見て話すのは瞳から感情を読み取っているのだろう。と考えていた。というお話をしました。

実はそれには人体の構造的な理由もあります。
東洋人と比較すると欧米人の目は瞼が薄く、虹彩の色も薄いため、瞳孔の動きが見やすい。そのためそのまま脳の活動が読み取れる。つまり東洋人より遥かに「目力」があるように感じられ、それを読み取りやすいという事が言える訳です。

現代、欧米人も太極拳を学ばれている方々が多く居られます。
その方達が目に神を宿したら…。
(凄まじい事になるのだろうな。)

なんて事を思ったりするのでした。
コロナ禍でマスク生活を通して考えた「神」のお話でした。


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「双月会」竹之内朋子