陳氏太極拳協会双月会

★〜ファーストエイドを考える〜

運動している者は運動だけでなく応急処置についてもそれなりの知識を持っている方が多いと思います。
何故なら、「安心・安全」は学びの土台となる事だからです。

安心と安全と言うのはよく同一に語られますが、その意味する所には大きな違いがあります。

「安心」とは人が安やかな心である事。安全が確保されていて心が安定した状態を指します。(個人の心の状態).

一方「安全」とは環境や状況が危険でない状態(安全)であるという事をさします。(社会的環境)

「双月会」の練習に特化して言えば使う会場は公共施設を利用している為施設運営上かなり安全に配慮されています。

しかしながらアクシデントと言うものは突然前触れもなくやって来ます。突然の心停止、痙攣、肉離れ、脳梗塞、転倒など。その時周りの者はどういった対応を取るべきなのか。という事は頭に入れておきたいものです。

そこで私は年間何度かはファーストエイド(応急処置)や心肺蘇生法などの勉強会に参加しています。
7月にも「スポーツテーピング」の講習会に参加して来ました。
今回はその講習会の中で驚いた事があり寄稿文に載せる事といたしました。

最初はテーピングに使うテープの種類、伸縮性と非伸縮性の違いと使い分けについて説明がありました。
固く固定したい時は非伸縮性を使い可動を持たせる事を考えるなら伸縮性を使う事。
テープは筋肉の走向(流れ)に沿って巻く事。
巻かれる対象者とコミニュケーションを取りながら加減を調整する事
曲げたくない筋肉の反対側に貼り
テンションをかけて抑制する事

どれも以前に習った記憶を呼び起こすように聞いていました。

ところが講習が進む中で講師から
「以前は冷やす事固定する事が推奨されていましたが、今は必要以上の固定や冷却が怪我の回復を妨げる。という論文も出ています。
その為私はあまり固定と冷却を行いません。」
という意外な言葉が飛び出したのです。

(え?!)
どういう事?
私は思わず動かしていた手を止めました。

思えば私が応急処置を最初に習ったのはもう30年以上前になります。心肺蘇生法が5年に一回見直されているのを考えると応急処置に対する考えも変わって来ているのかもしれません。

昭和の人間なら肉離れなどの怪我をしたときの応急処置としてRICE処置を習った方も多いはずです。
RICE処置とは
安静、冷却、固定、挙上の英語の頭文字をとったもので私は今日この講習を受けるまで迷う事なくこの方法をして来ました。

「あの、ではRICE処置は行わない。という事ですか?」
という私の質問に整骨院を営み柔道整復師の資格を持つ講師は
「はい。私はしません。」
という回答でした。

現代社会において何か以前と違う新しい情報に触れた時にはその真意を確かめます。
私も医療従事者、消防関係者、ネット上で現在の応急処置がどうなっているかをリサーチをかけました。

結果
立場によって判断が分かれるのではないか。
との意見が多くありました。

立場によって判断が分かれる。
というのでは個々の判断が難しくなったようにも感じてしまいます。

「立場によって見方が変わる」
というワードにフッと学生時代の美術の先生の質問が蘇りました。

「A氏はその外見をを丸いと言い、B氏は三角だと言いました。
更にC氏は触った感触をなだらかに曲がっていると言い、D氏は平だと言います。E氏は尖っている。とも言っています。
皆本当の事を言っていて誰も嘘をついていません。皆さんはコレをなんだと思いますか?」

という質問です。

当時の私は自ら答えを導き出せませんでした。

「答えはコレです。」
先生が机上に置いたのはデッサンで使われる円錐です。

円錐なら底から見れば「丸」、横から見れば「三角」、底を触れば「平」横面は緩やかなカーブ、さらに先端は「尖って」います。

美術の先生は続けます。
「例え同じ建物を描いたとしても描き手の立つ位置によって見え方は違います。だから隣の人と同じではないからと言って間違いではない。むしろ当然なのです。」

今回RICE処置は行わない。と言った講師はリハビリを担当する立場だったのでそう言ったのかもしれません。
バイスタンダー(怪我の現場に居合わせた人)が取る初期処置は悪化させない為の善意による行動であればそれで良いのかもしれないと私は思いました。

(法的な根拠
刑法第37 条「緊急避難」に、「自己又は他人の生命、身体、自由又は財産に対する現在の危難を避けるため、やむを得ずにした行為は、これによって生じた害が避けようとした害の程度を超えなかった場合に限り罰しない。
民法第 698 条の「緊急事務管理」に該当し、「悪意または重過失がなければ、実施者である市民が傷病者等から責任を問われることはない」と考えられているもの。)

以上の事から「双月会」で怪我人が出たなら、私は変わらずRICE処置をするだろうな。と思いました。そして今後も危機管理について学んで行く必要性を感じました。

そうそう、私が救命士さんから言われた一言で印象的だった言葉があります。

「病気は突然やってきますが、唯一「熱中症」だけは自分で防げます。」

そんなわけで「双月会」の皆さん、今年も暑そうです。無理なく水分ミネラルのちょびちょび飲みと休憩で楽しく乗り越えていきましょう♪
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体験は無料です。
では!また!

「双月会」竹之内