陳氏太極拳協会双月会

★〜腕を動かす骨たちについて〜

ある日の「双月会」の練習の中で「烏口突起」が話題になりました。

「肩甲骨から動かせる様にするためにまず鎖骨周辺の筋肉を緩めてみましょう。鎖骨周辺の皮膚を優しく摩っていきましょう。肩の近く迄行きと烏口突起に触れる事ができますね。」

の流れからの
「烏口突起がわからない」
と疑問の声があがります。

会員の中に整体院にお勤めの方もおられますので実際に触ってもらって烏口突起の確認をしていただきました。
烏口突起というのは肩甲骨の一部です。
肩甲骨は肩峰と烏口突起と関節窩によって上腕骨の頭をしっかりと捉え胴体と腕を繋ぐ要となっているのです。

頭蓋骨や大腿骨など聞き慣れた骨はわかるけれどあまり聞き慣れない骨はそれが何処の骨なのかわからない。と言うお話はよく聞きます。

そんな訳で、今回の寄稿文は腕を動かす骨の名称やその特徴で面白いなぁ。と思った所、その覚え方など幾つかご紹介してみたいと思います。

まず骨を説明する前に「腕」について軽く触れておきましょう。
以前自由上肢骨については寄稿文で触れた事があります。

上肢を構成する骨は
上肢帯(鎖骨、肩甲骨)と自由上肢(上腕骨、橈骨、尺骨、手根骨、中手骨、指骨)から構成されています。

太極拳において「腕」と言った時に自由上肢(腕➕掌)のみではなく上肢帯の鎖骨や肩甲骨も含めて腕と捉えていると考えて良いでしょう。
腕は腕のみで動いているのでは無くそこには上肢帯と言った鎖骨や肩甲骨も大きく関わっています。
例えば大谷翔平選手がやっている掌を腰に当て両肘を胸前で合わせる様にする動きは肩甲骨と鎖骨の協力無しには出来ないのです。

さて腕の骨の中で一番大きな骨は上腕骨(肩から肘まで)です。
これは手の安定した支えになる骨です。
覚え方としては腕を垂らした時上の方にあるから上腕でその骨の事は上腕骨と覚えたらどうでしょう。
時に前腕と、上腕の覚え方が分からない。という声を聞きます。
この覚え方は頭の中で小さな前倣えをイメージします。学生時代縦列の最前列の人がやるものです。
すると肘から上が「上腕」肘から指先の前を向いているのが「前腕」と理解しやすくなるかと思います。

次に肩甲骨
私はコレを「肩」にある背中を守る「甲」の様な「骨」として肩甲骨を覚えました。

人体の骨の名称はただただ機械的に暗記しようとすると何の面白みもありませんが実はその名称にはちゃんと意味があります。
それらの語源や意味を調べるだけで骨に対する理解も深まる気がするのです。

今回話題になった「烏口突起」もまるで烏の嘴の様に見えることからこの名前がついたとも言われています。
ここは胸や腕に向かう筋肉の起始点にもなる所です。
私は頭の中では烏が嘴に湯葉を咥えている図を想像してしまいます。笑
「烏口突起」を字面で覚えるよりもかなりかわいい、親しみやすい感じになり覚えやすいと思いませんか?

次に前腕の骨に「橈骨」と「尺骨」があります。
前腕の骨が2本ある理由は圧力の分散や回内回外といった(掌を裏表に返す)動きをする為です。

「尺骨」の「尺」は長さの尺である事は想像できるでしょう。
けれど、尺の長さは30.3cm
(え?私の前腕そんなに長くないぞ)と思った事はありませんか?
これは「尺」の単位が時代によって変化した為です。
紀元前1600年頃の殷(いん)王朝の時代には1尺は18cm
漢の時代には1尺は23cm
1900年代には皆さんご存知の30.3cmとなりました。
つまり尺骨の「尺」とは漢の時代の尺の長さを意味しているのでしょう。

次に「橈骨」
橈(とう)という漢字には、主に「たわむ・まがる」「くじく」「かじ・かい」の3つの意味があります。
これは、尺骨がまっすぐであるのに対し、橈骨がわずかに曲がっていることに由来するとされています。
橈骨は腕の回内回外を司っており
順纏絲逆纏絲にも大きく関わる骨なのです。

この後掌の骨も…
とも思いましたが、実は掌には27もの骨があります。
それらの紹介をするととんでもない事になりそうなので今回は掌以外のご紹介で留めたいと思います。
皆さんも気になる骨の名称由来など調べてみると面白い発見があるかもしれません。

「これを知る者はこれを好む者に如(し)かず。これを好む者はこれを楽しむ者に如(し)かず。」
孔子「論語」より
そう!人生は楽しんだ者勝ち。笑
「双月会」は今日も会員募集中です!
気になる方はぜひ体験にお越しくださいね。
では!
「双月会」竹之内